腸と睡眠の関係
現代人に多い睡眠トラブル。実は腸の働きも睡眠に深く関与していることをご存じでしょうか。
特に季節の変わり目は、自律神経が乱れて寝つきが悪くなりやすく注意が必要です。
今回は、腸内をケアしてよく眠れる体づくりを提案します。
私たちが眠気を催すのは、脳の中心にある松果体(しょうかたい)から分泌される睡眠ホルモン「メラトニン」の作用によるものです。
メラトニンの分泌は、体内時計によって管理されています。しかし、昼夜問わず明るい環境にさらされることや、不規則な生活は、体内時計の乱れの原因になり、いわゆる〝時差ぼけ〟状態になります。
その結果、メラトニンの生成や分泌がうまくいかなくなってしまうのです。
そもそも、メラトニンはどうやって作られるの?

ここに大きく腸内細菌が関与してきます。メラトニンの生成には、必須アミノ酸の一種「トリプトファン」という栄養素が必要になります。
トリプトファンは食品からしか摂取することができません。そこで活躍するのが腸内細菌です。
腸内細菌が肉や魚、乳製品、大豆製品などに含まれるタンパク質を分解・合成し、トリプトファンをつくることで、メラトニンが生成されるのです。腸内細菌の数が多く、豊かでバランスのよい腸ほど、メラトニンの生成も盛んになります。
ちなみに、心の安定をもたらす通称幸せホルモン「セロトニン」は、メラトニンになる前段階のものです。
腸内細菌が減って働きが衰えると、セロトニンが不足し、メラトニンも不足することになり、睡眠の質の低下につながります。
腸内環境を左右する腸内細菌
腸内には、およそ1000種類の細菌が存在しています。菌種ごとに塊となっている様子がお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」とも呼ばれています。腸内細菌の形成パターンは一人ひとり異なり、原型は3歳までに作られると言われています。
腸内細菌のバランス

腸内細菌はその働きにより3つに分けられます。
1つ目は腸に良い働きをする善玉菌、2つ目は増えすぎると悪影響を及ぼす悪玉菌、そして3つ目はどちらか優勢な方の味方をする日和見菌です。
私たちの腸内では、毎日のように善玉菌と悪玉菌の縄張り争いが起こり、腸内細菌のバランスが変化しています。腸内細菌のバランスが崩れる原因の一つに食生活の乱れがあります。
腸内環境を整えよう!
腸内環境は食事に大きく左右されます。

ヨーグルトや納豆などの発酵食品は乳酸菌やビフィズス菌、酵母菌、麹菌などの善玉菌が含まれています。(プロバイオティクス)
オリゴ糖や食物繊維は善玉菌の“エサ”となり、腸内の善玉菌を元気にして育てる働きがあります。(プレバイオティクス)
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、どちらも便秘改善などの腸にうれしい効果が期待できます。善玉菌の増殖に特に効果があるのは「水溶性」の食物繊維です。
発酵食品、オリゴ糖、食物繊維を組み合わせて、毎日続けて食べることが効果的です。

また運動習慣のある人は、善玉菌が多く腸内環境が整っているという研究結果があります。食事だけではなく、適度な運動も大切です。
腸内環境と睡眠には密接な関りがあります。腸内を整えて質の良い睡眠を目指していきましょう!
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