カラダからの大事なお便り
食べ物を食べて、”便”を出す。この当たり前の身体の仕組みですが、便秘や下痢など悩んでいる人も多いのが現状です。便は健康のバロメーターです。健康チェックのひとつとして、便を確認することは大切です。今回は健康な身体からのお”便”りについて少し学んでみましょう。
便ができるまで
食べ物が口に入ると消化が始まり、噛むことで食べ物は消化酵素を含んだ唾液と混じります。次に、食道を通り胃に入ります。胃の消化酵素によって食べ物はどろどろ状態になり、次の十二指腸では胆のうから出された胆汁と膵臓からの膵液によって分解されます。その後、小腸に運ばれ栄養素や水分が吸収され、大腸でさらに残った水分が吸収され、最終的に肛門から便として排泄されます。食べ物が便になるまでにかかる時間は、個人差はありますがおよそ3日以内です。
便を観察してみよう
ポイント①硬さと形
実は便の主成分の約80%は水分です。コロコロの硬~い便も約70%は水分でできています。便の形は、含まれる水分の量によって決まります。便の形状を見分ける際の指標として、ブリストルスケールがあります。これは便の形状を7段階に分類し、排便の状態を判断する際に使用されます。

Type1~2:腸内の停滞時間長く、便秘と判断されます。
Type3~5:正常範囲の便。特に「4」が理想的です。
Type6~7:柔らかすぎて下痢と判断されます。
ポイント②色
便の色といえば茶色が思い浮かびますよね。これは胆汁に含まれるビリルビンという物質が便を茶色くするからです。ビリルビンは腸内が酸性かアルカリ性かによって色が変わる性質があります。腸内に善玉菌が多いと酸性に傾き、便は健康的な黄褐色になり、悪玉菌が増えるとアルカリ性に傾き、黒っぽいこげ茶色になります。
病気が隠れている可能性も?
こんな便がでたときは、要注意です!

黒色:胃や食道、十二指腸からの出血が疑われます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなどが考えらえます。
赤色:大腸から肛門までの間で出血している可能性があります。
ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、憩室出血、痔などが考えられます。
白色:便の色を作る胆汁の流れが悪いサインです。
肝臓や胆のうの病気の可能性があります。
緑色:食事による影響や暴飲暴食のせいで緑っぽくなることがあります。
下痢や腹痛などがある場合は、感染性腸炎の可能性があります。
ポイント③におい
健康的な便であっても、便はにおいます。ただしにおいが強いときは、腸内環境の乱れが原因として考えられます。食生活がお肉や脂っこいものに偏り悪玉菌が増えると、においが強くなります。また、便秘で便が腸内に長くとどまると悪玉菌が増えて、においが強くなります。腸内の善玉菌が増えると、便のにおいが抑えられると考えられています。
ポイント④量と頻度
理想的な便の量は、食事の量や排便回数にもよりますが、バナナ1~2本分くらいです。バナナ状の便がするっと出て「すっきりしたな」と感じれば良い状態といえます。健康な方の排便回数は1日1~2回程度ですが、排便回数には個人差があり、1日3回から1週間に3回程度であれば正常の範囲内と考えられます。
便は身体からのお便り、メッセージです。最近のトイレは清潔感重視で便器の中があわあわだったり、場合によっては勝手に便が流れていくこともありますが…健康状態のチェックのために、便の状態に目を向け、観察してみてはいかがでしょうか。
「便秘がつらい」、「血便が出た」など、便のことでお悩みがあれば、ぜひ当院へご相談ください。
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